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アンマンでは、「コーダホテル」という宿に泊まっていました。
このホテルの名前の由来は、2004年、イラクのバクダッドで日本人の香田証生さんがアルカイダの組織に拉致され殺害された、あの事件に関係しています。
香田さんがイラクへ行く直前に宿泊していたのが、
アンマンに今もある「クリフホテル」というところです。
そこで働いていた「サーメルさん」が、香田さんにイラク行きのチケットの手配を頼まれました。
イラクは当時、本当に危険な場所でした。サーメルさんはどうにかしてイラク行きを止めようと何度も説得したものの、
香田さんの思いは強く、最終的にバスのチケットを手配しました。
その数日後、香田さんはアルカイダに拉致され、
殺されてしまいます。
「48時間以内に自衛隊を撤退させないとこの青年の首を切る」というアルカイダに対し、
当時の小泉首相は「テロに屈することはできない」としてその要求をのまなかったのです。
あの時の日本政府の判断が正しかったのかどうかは両論ありますが、
結果として香田さんは帰らぬ人となってしまいました。
サーメルさんは何故もっと強く説得しなかったのか、
自分のせいで香田さんが亡くなった、と心を痛め、新しくホテルをつくるときに、
香田さんへ追悼の気持ちを込めて、名前を「コーダホテル」にしたそうです。
当時中学生だった僕はニュースを見て、「遠い国で起きた怖い出来事」ぐらいにしか思えませんでしたが、
実際に事件のキッカケになった場所に来ると、色々と考えさせられます。
香田さんがイラクに行って殺された時の年齢は、24歳。
今の僕と、同い年。
当時の世間の反応として、
「世間知らずの若者が危ない場所に自分から行って殺された」
「自己責任」
という世評が多かった記憶があります。
しかしこうして世界を旅していると、
「世界の現実は、日本でイメージしていたことと違うことが多すぎる」ということに気がつきます。
中国の反日報道然り、実際にその場所を訪れてみると分かりますが、
日本の報道はかなり大げさで、どこかアメリカ側に偏っているように感じます。
香田さんは、日本で報道されているイラクではなく
「本当のイラク」「イラクの子供たちの笑顔」が見たかったそうです。
当時は僕も「なんでこの人はこんな危ないことをしたんだろう」と彼の行動を理解できませんでしたが、
今なら、あの時の彼の気持ちが分からないでもありません。
ただ、僕は少しでも「危険」と言われている場所には絶対に行きませんけどね。
好奇心に従って世界の本当の現実を知ることも大事ですが、
無事に国へ帰ることの方が何倍も大事だからです。
真面目なお話はここまでで、ここからはいつものようにふざけます。
現在その「サーメルさん」は日本人女性と結婚されてもうアンマンにはいませんが、
サーメルさんの後輩の「ルアイさん」というとても親切な人気スタッフがいて、
彼に会いに皆コーダホテルに泊まりにくるレベルだと聞いていました。
そんなルアイさんはなんと「中東一のナイスガイ」と言われているそうで、
僕の親友の「アジアで1番いいやつ」こと南遼平と直接対決させてみたい、と心から思いました。
僕も、そんなに良い人なんや!!とルアイさんと会うのをすごい楽しみにして行ったんですよ。
するとですよ、まさかの
ルアイさん、数ヶ月前にコーダホテル辞めちゃってていませんでした。
ルアイさんがいなかったのも残念だったんですけど、
もっと残念だったのはルアイさんを除いた従業員が全員、世界最強にやる気がなかったことです。
その従業員達のナマケモノっぷりは、勤務態度にモロに表れていました。
永久にトランプして遊んでますからね。
話すと良い人達なんですけど、話終わった瞬間にトランプに熱中しますからね。
そして明らかに部屋の掃除とかしてないんですよ。
マジでむっちゃ客室汚いんですよ。
そして常識を超えて汚い宿には、アレが出るんです。
ゴキブリなどというレベルの低いものではなく、
南京虫です。
「南京虫」って、日本にはそんないないんで馴染みないと思うんですけど、
ダニの最強バージョンだと思って下さい。
普通のダニが「アグモン」だとしたら、
南京虫は「ウォーグレイモン」ぐらいの戦闘力を持っていると思って下さい。
南京虫は不衛生な宿などに襲来する僕的に世界最悪の害虫で、
噛まれると最強の痒みを発症することから「旅人の天敵」と呼ばれます。
なんなら「使徒」って呼んでいいレベルですからね。
パターン青!!し、使徒です!!俺のベッドに1、2、3、3匹!!!!
エヴァンゲリオン、出動!!!!!!
ホテルにとっても天敵で、一度南京虫が出てしまった宿はお客さんが自動的に離れる為、南京虫のせいでつぶれる宿も少なくないそうです。
なので、ナマケモノレベルMAXのココの従業員も、南京虫が出たと知ると
さすがに必死になります。
「なに!!南京虫が出ただと!!!!
よし、俺に任せろ!!駆除してやる!!」
従業員Aはそう言い放つと、一度フロントに戻って
エグいぐらい蛍光色の謎の薬品を持ってきました。
「これは、南京虫にめっちゃ効果のある特別な薬品なんだ。
これさえあれば、もう安心だ!!」
従業員Aはそう言い放つと、そのエグいぐらい蛍光色の謎の薬品を、
エグいぐらい大量に僕のベッドの木の部分に塗り始めました。
「いつもの倍は塗ってやったぞ!!HAHAHAHA!!これで大丈夫だ!!
絶対、南京虫は上がってこれない!!」
従業員Aがあまりにも自信満々にそう言い放つので、
僕は何の確証も無かったのにも関わらず、何故か「おお〜大丈夫なんだ」と思ってしまいました。
そして、そのままそのベッドで普通に寝たんですね。
いや、あのエグい蛍光色の薬品は絶対に効くだろうと。色的に。
そう薬品に全幅の信頼を置いて寝た僕は、
翌朝起きてまじでびっくりしました。
余裕で、南京虫にマシンガンのように刺されまくってたんですよ。
南京虫に噛まれたときのかゆさって、常軌を逸してるんですよ。
普通の蚊に刺されても、むっちゃかゆいじゃないですか。
あれの2万倍のかゆさです。
いや、何故だと。
昨日あの従業員Aのやつ、「南京虫にむっちゃ効果のあるハズの薬品」をベッドに塗りたくってくれたハズなのに何故だと。
お前のATフィールド、余裕でぜんぶ突破されてるやないかいと。
僕、昨日のエグいぐらい蛍光色のその薬品がフロントに置いてあったんで、
気になって見てみたんですよ。
するとそこには、ビビるほどデカい文字でこう書かれていました。
「Floor Cleaner(フロアクリーナー)」と。
ちょ、それ床キレイにするやつ_| ̄|○
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