デリーで睡眠薬強盗にあいかけた話

 

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10日間で悟りを開くことに成功するという偉業を成し遂げた僕は、
修業のお陰でインドで一番長く滞在した町、ジョードプルを遂に離れます。

 

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10日間想像を絶するマズさを誇る精進料理を食べ続けた後
の、マクドナルド。

美味すぎて死ぬかと思いました。

 

 

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ジョードプル名物、オムレツ屋のオッチャンと。

 

 

 

 

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ジョードプルからデリーへは、旅猿でもおなじみの夜行列車です。

指定席なんですけど、僕らの席に着くと
案の定、謎のインド人のオッサンが僕らの席で余裕で寝ていました

 

 

僕たち「ちょ、ここ俺らの席なんですけど!!どいてほしいんですけど!!」
 


オッサン「いや、ここは俺の席だ。何を言ってんだ。」

 

このとき、電車はジャイプルという比較的大きな駅に着いて、止まってる最中でした。

 

僕たち「いや、マジでどいてって!!ココ疑いの余地が無いぐらい俺らの席やからな!!
ちょいオッサン、チケット見せてみ!!」

 

オッサン「チケットなんていらねぇんだよ!!俺はジャイプルまでこの列車で行くんだよ!!邪魔すんじゃねぇ!!」

 

僕たち「(!!?ココ、ジャイプルやけど!?)」

 

僕たち「ココはもうジャイプルだよ!!寝ぼけてんじゃねえ!!」

 

 
オッサン「なにっ!!ここはジャイプルだと?!!
 

本当か!?本当にジャイプルなのか?!?

 

 

ホントだ!!ジャイプルだ!!

 

お、降りなければ!!教えてくれてありがとう!!!!!」
 
 

(オッサン、光の速さで電車降りる)

 

僕たち「ど、どういたしまして?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

宿で会ったドイツ人カップルが12時間遅延したとかいう悪夢みたいな話をしてたのでビビってたんですけど、
特に遅延もなく、デリーに到着!!

遂にデリーですよ。インドの首都です。
僕は安宿が多く集まる、メインバザールに向かうことにしました。

メインバザールとは、街の中心、一番栄えてる通りのことですね。
いくらインドとはいえ、首都のメインバザールですよ。さすがに、綺麗に整備されてるに決まってます。

 

 

 

 

 

 

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きったな!!!!!!!

 

インドは最後までインドかよ!!
なんで一国の首都のメインバザールが、こんなハナクソみたいなんだよ!!

 

 

 

デリーは、極悪都市として有名です。
治安が悪いというよりかは、詐欺だったりソッチ系の犯罪がエブリデイ勃発してます。

宿で会った日本人女性は、デリーに着いた初日で六万円騙し取られたらしいです。
六万円って、僕インド一ヶ月いたんですけど、その一ヶ月で使った全費用より余裕で多いです。
 
 
 

 

僕はある程度旅慣れもしてるし、大丈夫やと思ってたんですよ。
いや、皆思うらしいんですよね。自分だけは大丈夫だってね。

でも僕、
睡眠薬強盗にあいかけるというハイパーエキサイティングな経験をしたんで書きますね。

 

 

 

 

 

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デリーの見所の1つに「インド門」っていうのがあるので、
とりあえず見に行こうかということで1人で電車に乗ったんですよ。

電車のチケットを買うときに、すごい親切なインド人が助けてくれたんですよ。
僕の旅の経験からいうと、むっちゃ良い人の方のインド人だと思ったんですね。

僕を助けた後、すぐに「じゃあね!!」って言って去って行きましたからね。
あぁ、親切な人やなぁと。

 

 

電車を降りたところで、なんとそのインド人と偶然再会したんですよ。

おー!!すごい偶然だね!!今からドコ行くの??
みたいな話になるじゃないですか。

すると、そのインド人もこれからインド門に行くというんですよ。
おお、それなら是非一緒に行きましょうと。

 

 

 

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そのインド人の名前はアジェイで、バラナシの出身で頑張ってお金を貯めてデリーに旅行に来たと言っていました。
僕もバラナシに行ってたので、話に花を咲かせまくりました。

この時、偶然再会したという事実と、彼の人柄から判断して、
僕のアジェイに対する疑い度数は10%ぐらいです。
たまにいる、むっちゃ良いインド人やろうと。

通常のインド人に対しては常に90%ぐらい疑っているので、
これは破格の数字です。

 

 

 

さぁそろそろインド門に着きますよ、っていうタイミングで、
アジェイが急にもよおし始めたんですよ。

 

「ユウスケ、腹が痛い。多分、昨日の晩食べたカレーがあたったんだ。
我慢できない。トイレに行ってくる。」

 

いや、ここインドやし、急に腹痛くなるとか日常茶飯事なのはすごい分かるんで、
全然不自然とは思わなかったんですよ。

 

「俺は急いでトイレに行ってくる。
待たせるのは申し訳ないから、先にインド門を見ていてくれ。後で追いつくから。」

 

まぁ、了解やと。
ケツからボルケーノストライクを放つ前に、急いで行ってきなさいと。

俺は先にインド門見てると。

 

 

 

 

 

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インド門。
第一次世界大戦で戦死した、インド人兵士達を追悼する為に造られたそうです。

僕は、「ちょ、凱旋門?」という、
非常に安直な感想を持ってしまいました。

 

 

 

インド門付近で待つこと5分、アジェイが死闘を終えて帰って来たんですよ。

 

「いやー待たせてゴメン!!長い戦いだった!!
どうだい、ユウスケがもし良ければなんだけど、この後一緒にお酒でも飲まないか?」

 

あぁ俺酒飲まんけど、まぁご飯でも行こうや。
と僕が了承すると、

 

「そうか!!じゃあ、早速行こう!!オススメのお店があるんだ!!」

 

と、アジェイが歩き出しました。

 

 

ココで僕、2つの不審なことに気付いてしまったんですよ。

1つ目は、アジェイはバラナシ出身でありデリーに来るのは初めてだと言ってたのに、
オススメのお店があるなんてオカシイと思ったんですよ。

2つ目は、アジェイも初めてのデリーでインド門を楽しみにしていたハズなのに、
インド門全然見てなかったんですよ。
ウンコから帰って来てからずっとアジェイのこと見てましたけど、インド門のことチラ見ぐらいしかしてないんですよ。

 

あれ?
と。

 

10万円の詐欺を華麗にくらった、僕の友達は言いました。

「デリーの詐欺はマジで巧妙にやってくるから気をつけろ」
と。

ここで、僕はアジェイへの警戒度を10%から88%まで引き上げました。

 

 

 

でも、アジェイは本当に良い人に見えたんですよ。
今まで東南アジアとかをずっと旅してきて、僕はある程度、良い人と悪い人の区別がつけられるようになってきたと思ってました。

僕、旅の醍醐味は現地の人との出会いだと思ってます。
東南アジアやインドなどの騙してくる人が比較的多い地域でも、騙される可能性があるからって全ての人に対して耳を塞いでしまっては、せっかく良い人が100%善意で声をかけてくれたかもしれないのに、友達になれたかもしれないのに、その機会を逃してしまうことになるんですよ。

そこを見分けるのが、本当に難しいんですけどね。
良い人だと思って仲良くしたら睡眠薬を盛られて、貴重品を全て奪われた人もたくさんいます。

 

 

でも僕、アジェイは本当に僕に優しくしてくれていたので、最後まで信じたかったんですよ。
アジェイは、詐欺師なんかじゃないとね。

しかし、ですよ。

僕はアジェイが今まで言った言動と、これからとる行動を照らしあわせて
詐欺師だと8割型確信できたときは、逃げることに決めました。

 

 

 

 

「タクシー代は出させてくれ!」

 

という、インド人からは間違っても出てこない言葉を放ったアジェイと一緒にタクシーに乗り、
その「オススメ」と言っていた場所らしきところに着きました。

ガイドブックに載ってるような場所ならある程度綺麗めなレストランで然るべきじゃないですか。
でも、着いたの間違ってもガイドブックには載らないような、ローカル臭バリバリの場所だったんですよ。

 

 

 

そしてアジェイは、

「ユウスケ、ビールで良いかい?せっかくだから、景色が綺麗な外で飲もうじゃないか。
僕が買ってくるから、君はタクシーで待っててくれ。」

僕が「一緒に買いに行く」と何回も言っても、
「いいから待っててくれ!」の一点張りなんですよ。

そしてアジェイは、明らかに知り合いの店主のいる酒屋に入り、
一度こっちを確認してから、何故か僕らの死角へと消えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は、アジェイにバレないようにタクシーを降りて、
ダッシュで最寄りの鉄道駅まで逃げました。

行き先はどこでも良いので、とにかく一番早く発車する電車に乗り込んで、
息を潜めました。

ひょっとしたら逃げたところをアジェイに見つかって、
駅まで追いかけてくるかもしれないと思ったんですけど、

無事に電車が発車して、事なきを得ました。

 

 

 

 

 

 

実際にやられなかったので、100%ではないんですけど、

アジェイの矛盾した言動、今まで聞いた手口などを鑑みると、
あれはほぼ間違いなく睡眠薬強盗だったと思います。

たぶんあのビールを飲んでいたら、僕は意識を失って、
貴重品を全て盗られていたんだと思います。

 

 

睡眠薬強盗は、こうして優しい顔で旅行者に近づき、
隙をみて睡眠薬を飲ませようとしてきます。

実際に僕の友達が被害にあったんですけど、
路上で仲良くなったインド人のパーティーに誘ってもらったところ、どこかのタイミングでクッキーに睡眠薬を混ぜられ、

気付いたら病院のベッドの上で、持ち物が全て無くなっており、
看護師に聞くと丸二日間寝てたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騙そうとしてくる、一見優しい人を見分けるのは本当に難しいですね。
アジェイは本当に友達になれると思って信じてしまったのですが、僕がまだまだ甘かったみたいです。

タクシーに乗る前に、いくらでもこの危機を回避するタイミングはあったと思います。

 

 

勘弁だわ!!マジ、睡眠薬とか名探偵コナンの世界だけで勘弁だわ!!

 

 

 

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